ゴンズイはフグ同様に良く釣れる代表的外道魚であり、また毒魚でもあります。
一般的には、その毒や特徴的な外見・動作のために敬遠される魚ですが、知る人ぞ知る食べたら美味しい魚なんです。
「ゴンズイって、食べられるの?毒は大丈夫なの?」
「さばき方がわからない。毒の処理方法は?」
「どんな料理にあうの?」
など、これら疑問全てにお答えします。
当サイトでは、ゴンズイを素材とした料理レシピを用意していますが、まずはこちらのページを基本としてご覧ください。
※以下、人によってはグロテスクを思われる写真を掲載していますので、苦手な方はご注意ください。
ゴンズイって、どんな魚?
ナマズ目ゴンズイ科ゴンズイ属の魚で、『海に棲む小型のナマズ』のような魚です。
幼魚の頃は大集団で行動し、『ゴンズイ玉』と呼ばれるカタマリになって身を守ります。
釣り針に掛かるのは、15-20㎝程度のサイズが多く、知らずに触って毒による激痛を経験する人もいます。
しっかり毒を処理すれば、美味しく食べられる魚でもあります。
毒はどこにある?
ゴンズイが何故一般的に食べられないのか、そこには二つの理由があると思います。
1.毒がある
2.一匹当たりの食べられる量が少ない
他にも『外見や動作が気持ち悪い』という理由もあるかもしれませんが、それはウナギや穴子も同様。
やはり上記二つの理由に集約されると思います。
量については、数でカバーするしかないでしょう。
残ったのは『毒』ですが、これはさばき方をマスターすれば、簡単にクリア出来ること。
そのためには、毒のある場所を正確に知り、そこを除去する必要があります。
次に、具体的に毒のある場所を見てみましょう。
毒棘の場所を知ることが重要
一番危険な毒は、毒棘(とげ)にあります。
まずは背ビレの頭側に一つあります。
次に左右の胸ビレにそれぞれ一つあります。
以上、計3か所に毒棘がありますので、これら毒棘を除去することがゴンズイ料理の第一歩となります。
※「危険な毒」の意味は、毒の強度を指すのではなく、棘によって人間の皮膚を突き破り、毒を注入される危険性を指しています。
実は、毒棘だけじゃなかった!
あまり知られていないのが、全身にある「ヌメリ」(体表粘液)にある毒です。
ゴンズイは、ヌメリの多い魚です。
そのヌメリの中に、毒があることを知る人は少ないでしょう。
魚体を触る手に傷などがあれば、毒が侵入し、激痛が走ります。
筆者(当サイトの管理人)は、ゴンズイをさばく工程で、指先の深爪したところから毒が沁み込み激痛で苦しんだことがあります。
上記の毒棘(とげ)を除去した後、魚体を塩揉みして洗い流せばヌメリに含まれる毒は除去できます。
※ゴンズイの毒(タンパク質)は加熱することにより無毒化されるので、加熱する料理ではあまり神経質になる必要はありません。
ゴンズイのさばき方をマスターしよう!
ここでは二つの方法を紹介します。
一つは、ゴンズイの頭を使わない料理に用いる方法、もう一つは逆にゴンズイの頭を使う料理に用いる方法です。
※以下の写真では、撮影上の理由により屋内台所で作業を行っておりますが、実際にゴンズイを持ち帰る際は、釣りの現場で釣って直ぐに作業を行ってください。
毒棘が付いたままゴンズイを持ち帰ると他のゴンズイの体に毒棘がプスプス刺さり、結果としてゴンズイの毒が広く沁みわたることとなり、自宅での作業時のリスクが高くなります。
また自宅での作業時は、念のためゴム手袋またはビニール手袋を着用すると更に安全です。
(仮に毒が残っていた場合で、手などに傷口があるとそこから毒が沁みていく可能性があります)
頭を使わない料理の場合
ゴンズイの頭は殆ど食べるところが無いので、大半の料理では頭は使いません。
例えば、蒲焼き、天ぷら、唐揚げ等の料理です。
これら料理の場合は、頭ごと毒棘を切り落とします。
まず包丁を水平にして、背ビレを尾側からガリガリ切ります。
分かり易いように背ビレの先端を掴んでいますが、実際はその必要はありません。
頭部をしっかり押さえ、作業を行います。
包丁が硬い毒棘に当たったら、包丁の刃先を真下に向け胴体を切断します。
切断完了しました。
頭部側に毒棘3か所が一緒についていますので、その辺に放置することなく海に落としてしまいましょう。
(カニなどのエサになります)
尚、ゴンズイの体全体に対して頭部の占める比率が大きいので勿体無い感じがしますが、実際は下写真のように頭部側に残った身はごく僅かなので気にすることはありません。
個々の毒棘を除去するのでなく、この様に頭ごと取り除くのが一番手っ取り早く安全で効率の良い方法です。
頭を使う料理の場合
鍋やみそ汁の様に、ゴンズイから出汁(だし)を取るような料理の場合は、やはり頭は残しておきたいところ。
十分気を付けながら、毒棘を一本ずつ切断します。
棘の切断にはキッチンバサミを使うと便利です。
下写真では撮影の都合上片手で作業を行っていますが、実際はもう片手に骨抜きを持ち骨抜きで毒棘をしっかり押えて切断します。
そうすることによって、毒棘がどこかに飛んでいくことを防げます。
3か所の毒棘をヒレ毎切断しました。
これで安全です。
キッチンバサミの有効活用で楽にさばく
ゴンズイの体は柔らかいので、部位によっては包丁では切り難いことがあります。
そんな時に活躍するのが、キッチンバサミです。
ゴンズイ料理を行う時には、忘れず用意しておきましょう。
上記の様に毒棘を切断することもあれば、下写真の様に腹ビレ付近の柔らかい部位を切断したりと、兎に角包丁では切り難いと感じたら使ってみると良いでしょう。
料理アイデア
ゴンズイの身は、脂分の少ない白身です。
しっかりとヌメリを落とせば、臭みも少なく優良食材と言えるでしょう。
従って、どんな料理にも合うのですが、いくつかお薦めの料理記事を紹介します。
<天ぷら>
ゴンズイの身は、天ぷらにするとフワフワでボリューミーな感じがして大変美味です。
フライにしても同様美味しく頂けます。
<みそ汁>
ゴンズイの出汁がカボチャの甘味とマッチして、唸るほどの美味しさを味わえます。
みそベースの鍋やキムチ鍋などにも良く合うでしょう。
<蒲焼き>
蒲焼き(風)です。
ウナギや穴子の蒲焼きに負けない位、美味しく食べられます。
量が少ないのは、数でカバーできます。
食べてみたい内臓系
ゴンズイは小さいながらも美味しい肝を持っています。
肝を掻き出し、料理に使ってみるのも良いでしょう。
肝は、すり潰して醤油で溶けば、美味しい肝ダレができます。
これを野菜炒めやパスタなどの味付けに使います。
そして季節によっては、抱卵していることもあります。
折角の卵です、これも料理に使いたいもの。
塩漬けして白飯にのっけて食べたり、パスタのアクセントにもできます(明太子スパゲティと同じ感じで)。
<更新履歴>
2017/08/22 毒の場所を追加、その他全体を見直し、更新。
2018/04/23 2カラム化。リンクカードの導入。(内容に変更はありません)
2020/03/25 掲載写真が「衝撃的」と指摘を受けたので一部写真にモザイクをかけました。
2021/04/15 「ゴンズイ玉」の写真追加。
<参考書籍>
「新・海洋動物の毒」塩見一雄/長島裕二 共著