【名称】黒鯛、チヌ(西日本)
【釣場】磯、防波堤等(沿岸の砂泥地)
【地域】北海道南部以南の日本各地
【時期】春~初冬(地域によっては周年)
春の乗っ込みシーズン(産卵期)が人気
【サイズ】最大70cm程度
紀州(現和歌山県)ではじまったダンゴを使った釣りを紀州釣りといいます。
特にエサ取りの多い夏場に威力を発揮する、いくつかある黒鯛(チヌ)釣りの中でも優れた釣法の一つです。
別ページで紹介しているウキを使わないシンプルな釣法(紀州釣り – ウキなし)とは違って、 ここでは棒ウキとダンゴを組み合わせた一般的な紀州釣りを紹介します。
釣果の期待できる実践的な釣法です。
是非、お試しください。
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道具をそろえよう!
- 竿
1.5号/4.5mの磯竿が扱いやすくお薦めです。
2号、5.3mでもOKです。また外ガイドタイプと中通しタイプがありますが 基本形である外ガイドタイプからスタートされることをお薦めします。
- リール/ 道糸(ライン)
2000~3000番台のドラグ付スピニングリールに、視認性の良い色付き2~3号のナイロン磯用ラインを巻きます。
レバーブレーキ付きのものもありますが中上級者向けです。
- 針/ ハリス
ハリス付きチヌ針が便利です。
針は2~4号、ハリスは1~2号/長さ1.5~2mのものがお薦めです。
慣れてきたら針とハリスを別々に購入し自分で結べる様練習しましょう。
- オモリ/ ガン玉
ウキの浮力、エサの落下速度および遠投性を考慮して取り付けます。
ガン玉は個々にサイズを揃えるより、写真の様なセットを購入すると便利です。
潮流れと風の強い時は、ハリスにガン玉を打ちます。
- ウキ
大きく分けて、棒ウキと中通しウキがあります。
感度が良く、アタリが分かりやすい棒ウキがお薦めです。
棒ウキの場合、ある程度遠く飛ばすには1号以上は必要です。
ウキの根元に接続用の輪(アイ)がついているものを購入しましょう。
ここで紹介するチヌ釣りは夜釣りには不向きです。電気ウキもありますが、必要ありません。
- サルカン/ スナップ付きサルカン
道糸とハリスを結ぶ為に使います。
またスナップサルカンは、ウキの接続に使います。
「よりもどし」とも言います。
- ウキ留め
ウキ下の長さ調節に使います。糸タイプとゴムタイプがあります。
低摩擦の糸タイプがお薦めです。
あまり糸が太いと竿のラインガイドに干渉し、仕掛けが遠くに飛ばなくなりますので注意してください。
- ゴム管
ウキ下に入れクッションの役割をさせます。
棒ウキを使う場合は、その下のサルカンに絡まない様、写真の固定タイプを装着します。
- シモリ玉
ウキ留めとウキ(スナップサルカン)の間に入れます。
これがあることにより小さなウキ留めでもウキを確実に留めることができます。
- パイプ椅子
チヌのウキ釣りは、ウキの微妙なアタリを見逃すことなくじぃっと見つめ、アタリがあればすかさずアワセる必要があります。
椅子に座り、常に竿を持ちどっしり構えます。
勿論椅子の代りにクーラーBOXでも代用できます。
- バッカン
ダンゴの粉を入れておくものです。
米ぬか・砂・集魚用の粉餌を混ぜ合わせるのもこの中でおこないます。
- 柄杓(ヒシャク)
ダンゴを目的の地点に投入する為に使います。
手で投げても良いですが、少し遠くに飛ばすためには必要です。
- 水汲みバッカンと手拭い
面倒ですが、ダンゴを作る度に手を洗い拭きます。
(リールと竿が粉まみれになります)写真に手拭いは写っていませんが、ハンドタオルや雑巾などなんでもいいです。
- ガン玉潰し&外しツール
ウキの浮力調整にガン玉を使いますが、微調整する時には頻繁に付け外し擦る事になります。
専用のツールがあれば、その際の時間を節約、楽に作業できます。
写真のツールは管理人お薦めの物です。
ガン玉を使わない場合は不要です。
- 玉網(たまあみ)
「タモ」とも言います。
大物が釣れた時に必要なツールです。
防波堤では海面と足場に高低差がありますので、海面まで届く長さが必要です。
伸縮タイプで4~6メートルあれば大抵は間に合います。
- オキアミ(付けエサ用)
写真の様に付けエサ専用として売っているものを使います。集魚用オキアミの一部を切り取り、付けエサ用とすることもできます。
サイズは、MかLが良いでしょう。
- オキアミ(集魚用 ※オプション)
1.5Kgブロックを用意します。
ボイルと生の2タイプがあります。
どちらでも構いません。
ダンゴに数匹混ぜると集魚効果が高まります。
- 米ぬか
コイン精米所で無料入手できます。
スーパーで買うこともできます。
- 砂
釣り場の近くに砂浜があれば、採取します。
無い場合は、つり餌店で買います。
(無料で頂けるところもあります) - 集魚用の粉エサ
通販または釣具店で購入します。
チヌの絵が描いてあるやつを適当に。
仕掛けを作ろう
後に掲載している仕掛図と合わせてご覧ください。
※ 竿に道糸を通した所からスタートします。
- ウキ留めの装着
道糸の直ぐ横にウキ留め糸で輪を作ります。
ウキ留め糸の端を道糸の外側から回し込みウキ留め糸の輪の中に差込ます。
これを3回繰り返します。
(写真1)
次にウキ留め糸の両端を持ち、ゆっくり締めていきます。
この時あまり強く締めすぎない様にします。
(写真2)
次に余分な糸を切り落とします。
後にウキ留め糸の位置を決めた際に強く締めますので、指でつかめるだけの長さが必要です。
(写真3)
- シモリ玉の装着シモリ玉を道糸の先端から通します。
- ウキの装着
ウキに接続したスナップ付きサルカンに道糸を通します。
※ウキをスナップ付きサルカンに接続するのは、後でも構いません。
- ゴム管の装着
ゴム管の上下を順に差込み、中軸をセットします。
棒ウキをぶら下げた状態で、ウキの先端がサルカンより上にくるようにセットします。
これにより仕掛けが絡まるのを防ぎます。
- 中通しオモリの装着
ウキの浮力に合った中通しオモリを装着します。
ウキの浮力が1.5なら、オモリも1.5号を使います。※ウキの浮力調整はメーカーやウキの種類によってマチマチで、あくまでも目安です。
※後に、必要に応じてガン玉で微調整します。
- ハリスの接続
道糸とサルカンの片方、ハリがついたハリスをサルカンのもう片方にそれぞれ接続します。
写真の様にハリスが巻いてあるタイプはハリスの先端からゆっくり解いていきます。
伸ばした時に、玉ができない様に注意しましょう。
- ガン玉装着
ガン玉は潮の流れが強い時など、必要に応じて使います。【装着位置】
基本形は、ハリスを2等分にする位置にガン玉(重さ目安:B/2B)をつけます。
浮力調整で使う場合は、ハリスの根元(サルカン)近くにつけます。
- ウキ下の調整
ハリにオモリを付け、釣りたいポイントに投げ込みます。
この時に、ウキのトップが水面ギリギリに現れる位になるまでウキ留め糸の位置を調整します。
(はじめは底付近から狙うのが基本です。)
写真の様なゴム付きオモリを使うと便利です。
- リールのドラグ調整
道糸を強く引っ張った時にリールが全く動かない様では、大物が掛かったときに糸の接続部分が耐えられなくて仕掛けが切れてしまいます。または最悪竿が折れてしまいます。
ドラグを回して、糸を強く引っ張った時に糸が出て行くように調整します。
調整度合いは経験で感触を掴んでください。
以上で仕掛け作成完了です。
仕掛図
ダンゴベースを作ろう
ダンゴは、米ぬか・砂・集魚剤を主材料としています。
そのダンゴをにぎる前のダンゴベースの作り方を説明します。
- バッカンの7割目位まで、米ぬかを投入します。
- 濡れた砂を少しずつ投入します。
(乾いた砂の場合、予め濡らしておきます。)
- 米ぬかと砂を混ぜながら、軽くダンゴを作ってみます。粉っぽくてダンゴを形成できないようなら、更に少しずつ砂を足します。
何度も確認し、丁度良いところでやめます。砂自体が湿っていますので、水を足さなくてもダンゴはできます。
- 集魚用の粉えさを半パックを投入し、全体を混ぜます。
- この時点で、少し水分が不足しているはずですので、パラパラと少しずつ海水を足しながら、ダンゴを作って丁度良い状態にします。
以上、ダンゴベース作り完了です。
ダンゴ作りを失敗しないために
後に配分を調整できる様、米ぬか・砂・粉エサは、それぞれある程度残しておくようにします。
最初に使い切ってしまうと後で調整できなくなり、THE ENDになります。
ダンゴにプラスしたい材料
集魚剤の代りに、またはプラスしてアミエビを使っても良いでしょう。
また押し麦やコーンなど、黒鯛が好む材料を混ぜても効果が上がります。
ダンゴの配分について
最初から、ダンゴはうまく作れないかもしれません。
米ぬかと砂、そして集魚用の粉えさの配分を数字で覚えるより、自分の手で混ぜながらダンゴを作りつつ、体で覚えるのが一番の早道です。
丁度よい具合にダンゴが割れるようにするのはポイントの一つですが、釣れなくては意味がありません。
では、釣れる配合は?
決まった配分はありません。
紀州釣りの名人は、季節・天候・エサ取り状況・海底状況などを総合的に考え、配分を都度変えています。
ダンゴが割れる原因
作ったダンゴが、エイヤ!と投げた直後に空中で割れるケース、着水と同時に割れるケース、水中落下中に割れるケースがあります。
以下の理由が考えられます。
A. ダンゴの水分が少なすぎる。(あまり多すぎても駄目)
B. ダンゴの砂が少なすぎる。(あまり多すぎても駄目)
C. 投入直後、ラインがダンゴ投入用のヒシャクに絡む。
D. ダンゴを海面に叩き付ける投げ方。
E. ダンゴ投入用ヒシャクのサイズより、ダンゴが大きい。
F. 握りの回数が少ない。
G. 押し麦など粘りがない材料を入れ過ぎている。
一日紀州釣りをしていると午前中はダンゴが割れず調子良かったのに、午後から次第に割れるようになる、ということがよくあります。
日中の特に天気が良い時は、ダンゴベースの水分が次第に飛びますので、少しずつ補水するようにします。
逆にダンゴがいつまで経っても割れないときは、握りの回数を減らす、または砂を足すと割れやすくなります。
黒鯛を釣ってみよう
- 竿・仕掛け、バッカン(ダンゴの粉)、付けエサ、ダンゴ投入用ヒシャク、イス手拭い、水汲みバケツ、等を自分の好みの場所にセットします。
手前の四角い物体は、収納BOXで耐加重80KG。
安定した椅子にもなるので、お薦めです。
- イスに座りハリにエサを付けます。
オキアミの場合、基本はシッポからハリを差込み、ハリ全体がオキアミ内部に収まるようにセットします。
- 片手でダンゴベースを握り、少し固めてから、親指で真ん中を開きます。
綺麗に開く必要はありません。
- ハリを通したオキアミを割ったダンゴの中へ入れます。
- 割れ目を閉じ、一旦片手で軽く握り直します。
その後、もう片方の手でお好みの量のダンゴエサを少し取り付け足します。
- オニギリを作る要領で両手で強めに握ります。
握力ばかりに頼らず腕に体重を掛けるように握りの圧力を加えると手が楽です。
握りの回数が多い程、 割れにくいダンゴができます。
- 投入用のヒシャクにダンゴをセットします。
投げた時に割れないようヒシャクの形に合った形・大きさのダンゴを作ります。
- 下記手順でダンゴを狙ったポイントに投入します。
- リールのベイルを外し、利き手で無い方の人差し指でラインを引っ掛けつつ、竿を片手で持ちます。
竿先は下げておきます。 - 利き手でヒシャクを持ち構えます。
- ダンゴを投げます。
- ダンゴが空中にある段階で、ダンゴの飛翔コースに合わせて、竿先を上げます。
(ラインがスムーズに出る様に)
- リールのベイルを外し、利き手で無い方の人差し指でラインを引っ掛けつつ、竿を片手で持ちます。
- ダンゴが着底したら、棒ウキの殆どが沈んでいる状態になります。
トップが少し見えているくらいが丁度良いです。 - ダンゴが少しずつ海底で崩れていきます。
オキアミがフリーなった瞬間、ウキの浮力により、仕掛けが少し浮き上がります。(下図を参考にしてください。)
この瞬間がチャンスです。
- アタリを見極めます。Ⅰ.一気に早くウキが沈む
キスやイワシ等の小物が多いです。
即座にアワセます。Ⅱ.ウキが何度も細かく浮き沈みする
口の小さな魚がエサを細かくむしり取っていることが多いです。
ウキが完全に引き込まれたら、アワセます。Ⅲ.一旦少しウキが引き込まれ、その後一気に沈む
黒鯛がかかった可能性が高いです。
黒鯛は、エサを口の中に入れた後も少しその場にいることがあります。
この場合、ウキが少しだけ下がります。
その後、黒鯛が動いたときに、ウキが完全に引き込まれます。
このタイミングで、アワセます。※実は、黒鯛、ボラ、フグ、どれもアタリは似ています。
また、同じ黒鯛でも警戒心が強い大きい魚とその逆の小さい魚ではアタリが違います。
実際は、アタリだけで判断するのは難しいのです。 - アワセて魚が掛かれば、竿は立てた状態(竿と糸の角度が90度)をキープしリールで糸を巻きます。
この時、糸を緩めてはけません。 - 魚が手前に寄ってきたら、魚の顔を水面から出し、空気を吸わせます。
この時点で大人しくなることが多いです。
- 玉網を細いほうから伸ばし、網部分を水中に入れます。
この時、魚の頭が向いている方向に網を入れます。
竿を少し下げると魚は網の中に入っていきます。 - 魚が入ったら、竿を置き、玉網の太い部分から順に収納しつつ魚を引き上げます。
※玉網のロッドが伸びた状態で、尚且つ魚を入れたまま強引に持ち上げると玉網ロッドが折れてしまいます。サイズ的にはまだまだです。
50cmオーバーを狙いましょう!
補足ポイント
Ⅰ.ダンゴを壊す魚
ダンゴを何度か投げているうちに、やたら早くダンゴが崩れる(つまり仕掛けが浮き上がる)ようになることがあります。
これはボラの仕業です。
ダンゴが崩れると集魚効果が高まりますので、歓迎すべきことです。
Ⅱ.浮き上がる前のウキの動き
ダンゴが崩れる前であってもウキのトップがちょこまか動くことがあります。
これは、アタリではなくて、上記Ⅰの如くボラがダンゴを突いているために起こるケースが多いのです。
Ⅲ.再投入のタイミング
仕掛けが浮き上がってきた瞬間が最大のチャンスですが、逆に言えば浮き上がって時間が経つほどヒットの可能性は下がります。
こまめにダンゴを投入していくほうが、ヒットの確立は上がります。
Ⅳ.集魚用のオキアミ
ダンゴの中に付けエサ用のオキアミと一緒に数匹のオキアミを混ぜておくと、集魚効果が高まります。
集魚用のオキアミは、海水に浸しておきます。
特に夏場は、すぐに乾燥してしまい、ダンゴから離れた時に、水面に浮上してきてしまいます。
釣り場で気を付けること
黒鯛は非常に用心深く、動く人影やドタバタ歩行する時の振動などに敏感に反応します。
釣り場では、海の中の黒鯛から自分がある程度見えていると思って、行動すると良いでしょう。
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