釣りをしていると魚にハリを飲み込まれる、またはお腹など口以外のところにハリ掛かりすることがあります。
釣りあげて直ぐにハリを外せれば良いのですが、ハリ掛かりの場所によっては、または経験が少なく、ハリ外しに難儀することがあります。
そうこうしている内に魚は弱ってきます。
釣ったあなたとしてはリリースしたい魚、
でも弱ってきた・・・
リリースしたところで果たして生きられるのだろうか?
生きられないなら、持ち帰って食べるしかない・・・
そんな時に適切に判断するために行うこと、をまとめてみました。
釣りと魚を大切にしたい、そんなあなたのご参考になれば幸いです。
バッカンなどの容器に入れ様子を見る
海釣りであれば水汲み用のバッカンを持参していることが多いと思います。
魚のサイズにもよりますが、汲んだばかりの水が入ったバッカンに弱った魚を放します。
上写真の例では、サビキ仕掛けのハリが胸ビレの根元付近に刺さり釣り上げられたスズメダイで、少し出血していました。
5分程度放置して魚の状態を確認します。
お腹を上に浮いてくるようなことがなければ大丈夫ですので、リリースします。
※5分より更に長い時間様子見る場合、または複数の魚を同時に見る場合も含め酸欠により更に弱る可能性がありますので、途中で水を取り替える等対応します。
※川などの淡水の場合は、バケツや石で囲った即席イケスなどで同様判断します。
スカリに入れ様子を見る
主に海釣りの場合ですが、スカリを使うことがあります。
本来釣った魚を長時間活かしておくためのものですが、魚のコンディションチェックにも使えます。
スカリの場合、酸欠の心配がありませんし、勿論スカリのサイズにもよりますが、比較的大きな魚にも使えるというメリットもあります。
バッカンの時と同様、弱った魚を投入して5分程度放置、お腹を上に浮いてくるようなことがなければ大丈夫ですのでリリースします。
但し、スカリ内部が他の魚で混雑しているような場合や上げ下ろし頻度が多い場合(つまり良く釣れている状態)は、逆に魚を弱らせてしまう可能性があります。
そのようなケースは、弱った魚を投入するのは止めましょう。
大型魚の場合、ストリンガーに付け様子を見る
大型魚の場合、ストリンガーを使うという選択肢があります。
ストリンガーは、大型の魚を狙う人が持参するアイテム。
スカリ同様釣った魚を長時間活かしておくためのものです。
キープ目的以外の魚種が釣れた場合で弱らせてしまった場合、ストリンガーを使うのも一手となります。
例えば、黒鯛狙いの人がコショウダイを釣り、ハリ外しに手間取り弱らせたとします。
コショウダイは持ち帰るつもりはないものの、リリースしても生きられるか分からないため、一旦ストリンガーに付け様子を見る。
そんな使い方です。
※ストリンガーのフックを魚のエラ蓋を開いて通す人がいますが、エラに損傷を与え逆に弱らせてしまいますので、必ず下アゴの硬いところに通します。
※大型であってもアジなどの口が柔らかい魚には使えません。
生命力の強い魚とそうでない魚を知っておく
これまではバッカン、スカリ、ストリンガーを使って、その時の魚の状態を見てリリースするかどうか判断する方法を説明しました。
ですが、毎回毎回それをやっていては大変な場合があります。
そもそもその魚種が強い魚なのかどうか、自己治癒力、生命力がどの程度なのか知っておけば、ある程度の判断ができます。
例えば、釣り魚として人気の高い黒鯛であれば、ノドやエラなどにハリが掛かり出血しているケースはほとんどの場合、残念ながら活かしてリリースすることはできません。
その時は元気よく暴れていても海に投入後少しして浮いてくるようなケースを多数見てきました。
サビキ釣りで釣れるイワシやアジなども強い魚ではありませんよね。
ここでは沢山ある魚種を網羅することはできませんが、筆者(管理人)の経験上「強い」と考えている魚を紹介します。
強い魚その1:根魚(ねうお/ねざかな)
ロックフィッシュ、つまりカサゴ、オコゼ、ハタなどの魚は生命力が強いと考えています。
例えば、カサゴ(ガシラ)ですと以下のような経験があります。
釣れたカサゴの喉奥深いところにハリが刺さったので、持ち帰るという前提で少々無理をしてハリを外しました。
ハリを外したカサゴを水を汲んだバッカンに何気に入れていたのです。
そのカサゴの口からは、血がにじみ出ていました。
時間の問題・・・と思っていました。ところが、10分位したでしょうか。
ふと、そのバッカンの中を見ると、カサゴの口から出ていた血が止っていたのです。手を入れて触ろうとすると元気よく逃げます。
それから水を取り替えつつ、30分程様子見て、大丈夫なのを確認、リリースしました。
12月中旬の夜、気温は10度前後。
小型のカサゴが掛かりました。持ち帰るつもりで、クーラーボックスに投入(締めずに置いておいた)。
クーラーボックスの中では、水や氷、そして他の魚に触れない状態。・・・・・そして30分程経過。
クーラーボックスを見ると、先ほどのカサゴがまだ生きてる!
かなり弱っているのかと思いきや、水を汲んだバッカンに投入してみると、ちゃんと泳ぐ。しばらく様子を確認してから、結局リリース。
続いて、キジハタ(アコウ)のケースです。
同上、12月中旬の夜、気温は10度前後。
キジハタが釣れました。それほど大きくはありませんが、煮付けにするには丁度良いサイズ。
水の入っていないクーラーボックスに入れ持ち帰りました。
まな板の上でお披露目(写真内の左端)をしたのは、釣ったときから3時間20分経過していました。
(写真の撮影時刻で確認)実はこの時のまな板上のキジハタ、全く暴れるどころか動く様子も無いし、当然死んでいるものと思っていたのですが、良くみると・・・なんと胸ビレをパタパタ動かしている!
まさか!?
と思い、慌てて塩水を作りそこに投入すると・・・冬眠から覚めたカエルの如く、ゆっくりと・・・次第に普通に泳ぐようになりました。
なんという生命力!
以上の様に、根魚系の魚は、自己治癒力が高く、水が無い場所でもある程度の冷たさと湿度があれば相当長く生きられる生命力があることが分かります。
強い魚その2:長物(ながもの)
『長物』と呼ばれる魚の中でも、ウナギ、穴子、ハモなどの【ウナギ目】の魚は特に生命力が強いことで知られています。
ウナギは皮膚呼吸もできるので陸上でも長く生きられるし、ハモも水の無いところで24時間生きることもあるそうです。
料理の過程で切断された頭部や内臓がしばらく動いているような動画もよく見ます。
そもそもウナギ目の魚を釣って弱らせてしまった・・・という経験を持つ人は少ないと思います。
飲まれたハリを外すために魚体をガッツリ傷つけでもしない限り、暴れて難儀するのが長物です。
それだけ生命力が強いのです。
以上、ご参考になりましたでしょうか。
持ち帰って食べる魚以外はできるだけ無駄に死なせることなくリリースしたいものですね。
<更新履歴>
2019/09/23 記事公開