「カラスミ?知ってるけど食べたことはない」という人が多いのではないでしょうか。
日本の三大珍味の一つであるカラスミ、市場小売価格は4-5千円~もします(大阪黒門市場調べ)。
「高い!そんなの簡単に買えないよ・・・」と思われても無理はありません。
一般庶民にはなかなか手の出ない価格ですよね。
ですが、釣りをやる人なら、自分で作ってみるという手があります。
カラスミは、ボラの卵巣から作られることは良く知られています。
ボラの産卵期は、10月~1月と言われており、その期間に釣れる個体のお腹には、ぽってりとした卵巣が入っている可能性があるのです。
ボラを狙って釣るもよし、または外道で釣れちゃう時もあるでしょう。
ここでは、卵を抱えたボラを釣った人のために、カラスミの作り方を紹介します。
トータル3週間程の時間と多少の手間は必要ですが、作業自体は難しいことはありません。
特に日本酒や焼酎飲みの方にはお薦め!絶品の肴(アテ)になりますよ。
おおまかな行程
詳細は後述しますが、行程の概要は以下の通りになります。
- 洗浄&血抜き 10分
- 塩漬け 1週間
- 塩抜き 1日
- 酒漬け 1日
- 水抜き&天日干し 10日~2週間
- 保存処理 10分
塩や酒に漬けるものの、基本的には素材そのものの味を楽しむのがカラスミです。
特別な味付けをしているわけではありません。
実際に作ってみましょう!
- クレイジーフィッシングは釣りサイトなので、カラスミの作り方も魚を釣ったところからスタートです。
ボラの頭を落とし、腹を逆さ包丁で割き、丁寧に卵巣を摘出します。この時、肛門周りを大きく切り取ります。
こうすることにより、卵のつぶが飛び出るのを防げます。
- クーラーボックス保管時は、厚目の密封袋などに入れて、他の釣った魚のヒレや棘などから守ります。
持ち帰ったら作業開始です。
- さっと水洗いしてから、まずは泥状のものが付着している不要な膜を剥がしていきます。
- 中央を走る大き血管を剥がし取ります。
- ハリを軽く刺して血を抜きます。
あくまでも薄皮に穴を開けるだけです。作業には繊細な注意が必要です。
ハリを刺した瞬間に血が滲みでなくても大丈夫です。
次の塩漬け行程で、水分と一緒に血が抜けます。
- さあ、塩漬け開始です。
まず適当な大きさのタッパに食塩を敷き、その上から卵巣を置きます。※下写真では両サイドの卵巣がくっついていますが、できることなら少し広げてあまりくっつかない方がベターです。
※プロは使う塩にもこだわりがありますが、ここでは一般的に料理に使う塩でOKです。
- 続いて、上から食塩を5mm以上の厚さで被せます。
この状態で1週間(7days)漬けます。保管場所は冷蔵庫内または屋内の冷暗所が良いでしょう。
- 1週間後、ぷっくりしてた卵巣も水分が抜けて引き締まった感じがします。
- 水道水で表面の塩を落とします。
- 次は、塩抜き行程です。
タッパに残った塩の大半を取り除き、残った少量の塩で、薄い塩水(1-1.5%)をつくり、その中に卵巣を投入、1日(24h)置きます。
こうすることにより、卵巣の塩分が抜けやすくなります。【豆知識】
ここで使う塩を”誘い塩”、”迎え塩”または”呼び塩”といいます。
仮に真水を使うと表面の塩分ばかりが溶け、更には旨み成分が抜けやすく、傷みやすくもなります。
薄い塩水を使うのには、明確な理由があるのです。 - 塩抜き後、今度は料理酒に入れ替えて、更に1日(24h)置きます。
人によっては、焼酎や混合酒を使うこともあります。
ここでは、料理用の安い料理酒で十分です。 - さあ、塩抜き&酒漬けが終われば、水抜き、干し作業行程に入ります。
一番時間が掛かるところですが、徐々にカラスミが出来上がっていくのが分かるので、楽しみながら進めましょう。この行程では、卵巣を挟む2枚の板と液受け皿、そして後に使う干しネットが必要です。
写真のものは、小型のまな板(100均)と揚げ物用トレイを組み合わせて使っています。
- 上写真の状態から、更に板と重石になるものを乗せ(下写真では小麦粉を使ってます)、冷蔵庫で保管します。
この時、板は少し傾斜を付け、抽出した液体が受け皿に流れやすくなるようにします。
- 翌朝、板に載せた状態で、ネットに入れ天日干しします。
- その日の夕方、日没前後に取り込みます。
干し作業1日目でこんな感じです。
卵巣の面を上下入れ替えて、重石をして次の朝まで冷蔵庫に保管します。
以上作業を10日~2週間繰り返します。
※雨天時は、干すのをやめて、冷蔵庫にそのまま保管しておきます。 - 3日目
- 5日目
- 干し行程の途中、カビ発生防止の為、焼酎を塗布します。
干し期間中1回でOKです。
- 9日目
ここまで来るとかなり形が出来上がってきています。
それでも真ん中を指で押してみるとペコっとへこむので、もう少し干します。
※干す期間は、卵巣の大きさ、成熟度合、天候(気温、風の強さ)等による為、一概には言えません。
- 11日目
指で押してもへこみません。
干し作業完了です。
- 最後にもう一度、焼酎を塗布し、カラスミの出来上がり!
大人数で一気に食べてしまう場合を除き、繋がっている卵巣を分断して、それぞれをラッピングし冷蔵庫に保管しておくと良いでしょう。
カラスミを食べる!
食べる時は、2mm程の厚さに切って、日本酒でも飲みながら、ちびちびと食べるのが最高!
尚、カラスミには薄皮があります。
皮をむいて食べても良いし、少しあぶれば、そのままでもいけます。
また、食べ方の応用として、大根をカラスミと同じくらいの大きさに切って、いっしょに食べます。
こうすると、カラスミが歯にくっつきにくいし、美味。
※但し、大根は水分が多く、あまりそのままの状態で長く置いておくとカラスミが大根の水分を吸ってふやけてしまいます。
大根を挟む場合は、直ぐに食べる分だけにしておきます。
真空パックをすれば、かなり長期間持ちますが、ラッピング程度では乾燥が進むので1か月程度が限度でしょう(冷蔵庫保管)。
但し、切り口が少し乾燥した程度であれば、料理酒につけると元に戻ります。